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【プロが教える】火吹きのやり方と注意事項まとめ (2019年版)

「危険物取扱者・花火師(火薬)」の資格をもつファイヤーパフォーマンスのプロチーム、アークサンが火吹きについて詳しく解説します。(本記事は約4分で読めます)

【主な実績

  • ワイモバイルCMでXJAPANのToshI、吉岡里帆、新垣隆さんへの「演技指導と火吹きスタント」
  • ラルクアンシエルLIVEにてhydeさんとのファイヤーパフォーマンス共演
  • 福井国体と花火セレモニーでのオープニングアクト
  • イザナギ神宮での伝統芸能祭ファイヤーパフォーマンス出演
  • 一流ホテル屋内での花火演出

テレビCMや映画などの火吹きの撮影スタントや、火吹きの演技指導などのお問い合わせは一番下のお問い合わせフォームまでご連絡ください。

アークサンの最新LEDとファイヤーパフォーマンスの映像です。

アークサンの最新LEDとファイヤーパフォーマンスの映像

【目次】

  1. 火吹きの映像(小〜中サイズ、大サイズ)
  2. 火吹きの写真
  3. 「火吹きのやり方」本blog記事について
  4. 火吹きとは何を吹くのか?
  5. 練習方法は?
  6. 火吹きの準備
  7. 燃料の持ち運び
  8. 火を吹く手順
  9. 火を吹く向き
  10. 火を吹く場所
  11. まとめ
  12. テレビCM撮影

1.火吹きの映像(小〜中サイズ、大サイズ)

まずはこちらの火吹き映像をどうぞ(36秒)

火吹き正面映像(小〜中サイズ)

続いて(大サイズ)火吹き映像

火吹き映像(大サイズ)

2.火吹きの写真

ここからは火吹きの写真です。

国体記念イベントオープニング(花火大会)ステージで火吹き(1)
国体記念イベントオープニング(花火大会)ステージで火吹き(2)
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火吹きのやり方演技指導

3.「火吹きのやり方」blog記事について

このblog記事は「火吹き」「やり方」で検索してたどり着く人が多いようです。

後述しますが、火吹きは大変危険な行為のため誰にでもオススメするものではありません。「火吹きってどうやってるんだろう?」「どれくら危ないのだろう?」ということを知りたい方へ、ファイヤーパフォーマンスのご依頼を検討しているクライアント様、あるいはテレビや映画の撮影などで火吹きが必要になった方の参考にしていただければと思います。

火吹きよりも安全かつ更に大きな炎を出す演出に興味がある方は以下のblog記事へどうぞ。

4.火吹きのやり方(簡易版)

今回はパフォーマンスの中でも最も派手な演技のひとつ、火吹きについて紹介していきます。観客の歓声や期待度、盛り上がりは最高な反面、一歩やり方を間違えると命の危険さえあるパフォーマンスです。それゆえに、この記事はそれでも挑戦したいというプロ志向の方に向けた記事です。

火吹き(fire bleath)のやり方

  1. 片手に持ったトーチなど棒状のものに先端に火をつける
  2. 口に灯油などの燃料を含む
  3. 先端の火に向かって霧状に燃料を吹き掛ける

文字で書くと簡単ですね。これだけの情報で「とりあえずやってみよう!」と思う人はいないはずです。

インターネットではYoutubeなどで素人やユーチューバーなどが火吹きに挑戦してる映像もたくさんUPされているので、やるだけなら見よう見マネでも簡単にできてしまいます。ですが、ちゃんと知識をもって事前の準備をしたり安全管理をできているひとは少ない印象です。

その危うさが動画などの笑いのネタになれば成功かもしれませんが、冗談では済まない事態を引き起こす可能性を忘れてはなりません。

燃料の取扱い、消火、危険性などについて正確な知識を得たい方は、国家資格の「危険物取扱者の乙種4類(通称 : 乙4)」を勉強すると良いと思います。

4.そもそも何を吹くか?

火吹きといっても実際に口から火を吹いているわけではありません。口に含んだ燃料を霧状にして種火に吹き掛けることで空中で引火して炎が燃え上がります。では口に含む燃料とは何か?

現実的な答えは「灯油」か「スピリタス」です。

(1)灯油

パフォーマーが火を吹く場合は、間違いなく灯油の一択です。間違ってもガソリンなんて絶対口に含まないでください。

ちなみにファイヤー道具を燃やす燃料も一般的には灯油を使います。上級者になると道具によってはホワイトガソリン(一瞬で火を付ける演出など)を使い分けることもありますがやはり取り扱いの難しさや危険度が上がるため初心者はオススメできません。

灯油はガソリンスタンドやホームセンターに普通に売っているものと、エコ灯油という昭和シェルで販売している不純物や臭いのすくない灯油があります。

普通の灯油は黒い煙が大量にでるのでパフォーマンスであまり使いたくないのですがそれ以外ではほとんどマトモに使える燃料がないことから灯油を使っています。

もちろん灯油がパフォーマンスにも人体にも絶対安全というわけではなく危険な燃料の中でも比較的使い勝手が悪くないので使っているやすいいったところです。危険な燃料には違いありません。詳しくは後述しますが扱いには十分に注意してください。

昭和シェルが販売していたエコ灯油は残念ながら2017年春に生産中止になってしまったのでいまは簡単には手に入らないようですが今後もし手に入るならエコ灯油が絶対にオススメです。

少量ならお譲りできるかもしれませんのでお問い合わせください。

(2)スピリタス

スピリタスとは度数96%のほぼアルコールだけでできており、それだけでもかなり危険なお酒です。私の知り合いのBarの店員さん達は店内でこれで火を吹いています。しかし、扱いの危険なお酒なので素人は使わないでください。相当にキツいお酒なので口に少量含んだだけでかなりの刺激があるのと、お酒に強い人でも、すこし酔います(飲みこまなくても口内からすこし吸収されます)。火を扱うパフォーマンスをする際にお酒で酔った状態というのは問題外だと考えます。

また、スピリタスは液体そのものに火を近づけただけで引火して燃え続けます。試しに台所でスプーンにほんのすこし(2~3ml程度)スピリタスをすくってライターで火を付けてみると一瞬で燃え始めます。これでもスプーンの上の火が完全に消えるまで1分近くかかります。

これが服や床にすこしこぼれたスピリタスに引火したと想像するだけで恐ろしいですね。気を付ければ大丈夫だろう!と思うかもしれませんが、吹き掛けたスピリタスは全部が燃えるわけでなくすこし飛び散ったり口から溢れたりします。なのでプロでもスピリタスを吹くときは片手に火種、もう片手に濡れたタオルをもって万一の際はすぐに消せるようにします。

ちなみに消火といえば、火に水をかけるのを一番に思い付くと思いますが、ファイヤーパフォーマンスでは十分に濡れたタオルを被せて空気を遮断して一瞬で確実に火を消します。

(灯油は水に溶けないため、余分な灯油が水と一緒に流れて、更に火が広がる恐れがあるため灯油がたくさんある状況下では絶対に水をかけないように。このあたりは危険物取扱い資格でも基本中の基本です)

5.練習方法は?

さて、ここまで使う燃料とその危険性を紹介してきましたが、まだ実際に灯油を口に含んで火を吹くのはリスクが高いです。一瞬でも躊躇したりミスをすると2~3週間の病院送りか命を落とすことも起こりえます。

まずは口に含んだ水を全部霧状に吹く練習をします。

人に迷惑にならない場所、例えば夜の公園や自宅のお風呂場などにいって、口から水を霧状に吹く練習をします。吹く向きは最初は横向き(水平)で大丈夫です。

注意点は

  1. 霧状に吹き出す
  2. 1度に全部吹ききる
  3. 全部吹き終わるまで絶対に吸わない

霧状に吹かないと燃えずに地面こぼれる燃料が増えます。また、1度口に含んだ燃料を複数回に分けて吹くのは経験を積んでからが良いでしょう(まずは水で練習します)。絶対にしてはいけないのが吹いている際に息を吸うことです。吸うことで火が口の中に入ってきて最悪の場合、肺が焼けます。

頭では分かっていても実際に火を吹いてみると目の前一面に炎が上がります。自分で吹いた火にびっくりして息を吸ってしまって大火傷をした、なんて話も聞いたことがあります。なので絶対に最後まで全部吹き出す練習を繰り返して身体で覚えてください。

6.火吹きの準備

実際に火を吹く準備にとりかかりましょう。用意する物のリストです。

  1. 燃料(灯油)
  2. 燃料を小分けする容器
  3. ライター、チャッカマンなどの火種
  4. あれば、トーチなどの火種
  5. 水の入ったバケツと濡れたタオル
  6. キレイな水(口をゆすぐ用)
  7. キレイなタオル(口を拭く用)
  8. (消火器)
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ウェットティッシュ(左上)、小分けにした灯油(左上)、小型バケツ(左)、火気厳禁のプレート(中央)

万一、消火器の出番があるようではすでに大事故ですが安全管理を徹底するなら消火器持参しましょう。ホームセンターやamazonで普通の消火器(ABC消火器という)なら3,000円ちょっとで売っています。またエアゾール式の携帯スプレー消火器(正式には消火器ではない)くらいは持っておくことをオススメします。

これに加えてテレビやCMなどの撮影現場で使うのは、気体のボンベ式の特殊な消火器というの物はあります。これは粉タイプではないので消火の際に回りを汚さないメリットがあります。

7.燃料の持ち運び

灯油は無色透明の液体で一見すると水と同じに見えます。必ず専用の容器にいれて使用します。薬品用の密封できる容器にいれて持ち運びます。また小分けする際は必ずぱっと見て灯油が入っていると分かる容器を用意してください。ペットボトルや小瓶に灯油をいれたものを誰かが水と間違って飲んだり消火に使ったりすると大惨事になります。

我々は普段薬品用の容器と、G缶と呼ばれる専用の容器にいれて運んでいます。

※オススメはしませんが万一ペットボトルや小瓶を使う際は、危険物が入っていると誰が見てもわかるようにテープをぐるぐる巻きにしたり、ガムテープ貼ってマジックで大きく「灯油」と書くなどしてください。

試しにペットボトルに灯油を入れたまま倉庫にワンシーズン放置していたらプラスチックのフタが変形したり破損してしまいました。幸いにも事故にはなりませんでしたが注意してください。

8.火を吹く手順

準備が揃ったところで実際に火を吹く流れを解説していきます。万一の事故を防ぐためにもはじめは必ずセーフティ(安全管理者)と一緒に行ってください。

  1. 周りに人や可燃物がない安全な場所を確保する
  2. 持ち物一覧を確認しピットを用意する
  3. 種火(トーチなど)に火をつける
  4. ライターをピットに置く
  5. 小分けにした容器から燃料を口に含む
  6. 火に向かって霧上に燃料を吹きつける
  7. 火がついたら種火は口元から離す
  8. 全部吹ききるまで絶対に息を吸わない!

手に持った火をと口との距離はだいたいですが15~30cmくらい離しておけば大丈夫です。

9.火を吹く向き

火を吹く向きは練習では最初は横向き(水平)で良いでしょう。実際のパフォーマンスで横向きに吹くとお客さんや周りの可燃物に火が向いてとても危険なので必ず真上に吹きます。

※トップの写真では横向きに吹いてますがあくまで撮影用です。実はこのとき風が強く真上に吹いても火がほとんど真横に流れてしまう状況でした。そして本来なら風がある状況では火吹きは避けるべきです。なぜなら風下に向かって吹くつもりが、突然風向きが変わって自分の顔に炎が飛んで大火傷する危険があるからです。

10.火を吹く場所

さて、先述した通りですがどこで火吹きをするかが問題です。私有地で大きな庭があれば一番良いのですが、やはりある程度の広さと周りに可燃物がない場所というのは都会では限られてきます。

また許可の問題ですが、公園などは基本的に火気厳禁のため警察がきたり通報されたら厳重注意されます。(犯罪にはなりませんが悪質な場合は罰則がつくかもしれません)

安全面を考えると河原や海辺がベターということになりそうです。火気の使用が可能かどうかは各自治体などに問い合わせてください。おそらく許可は降りないと思うので勝手にやることになりますが、最終的な判断と安全管理は自己責任で徹底してください。

河原でも、高架下とそうでない場所では管轄が違って、高架下は道路交通法なども絡んでくるらしく法的にはより厳しくなるそうなのでご注意下さい。

万一、周辺のものや建造物などに火が移って事故になった場合は、例え小さなボヤだったり、故意でなかったとしても、かなり悪質な罪に問われる可能性があります。そしてそれはあなたの人生と、他のパフォーマーの活動にも多大な迷惑をかけることになりかねません。十分すぎるくらいの注意を心がけてください。

余談ですが、パフォーマンスの出演で都心部(たとえば大阪市内)などは火気の使用がNGの場所が多いです。一方ですこし地方にいくと簡単に火気の使用がOKをもらえることも多いです。このあたりは歴史や地域柄が関係してるのかなと思います。

11.まとめ

最終的には自己責任での火吹きになりますが周りに「経験者がいない」「安全管理に不安がある」という人の方がほとんどだと思います。現在は講習というかたちは取っていませんが、どうしても必要にせまられてという方がいればイベントパフォーマーズの出演依頼フォームに、火吹きのご相談というかたちでご連絡ください。CM撮影やTV取材なども受け付けております。

本記事は火吹きやファイヤーパフォーマンスをみなさんに積極的に推奨する目的ではなく、仕事で必要にせまられたプロ意識の高い方への知識の助長になれば幸いです

この記事を読んでやっぱり火を扱うのは危険だし面倒そうだから辞めておこうというのも勇気ですし、あるいはこの記事をきっかけに将来ファイヤーパフォーマンス界の大物が現れるのもまた楽しみです。

「フレイムスタッフ」柳健太郎 撮影

火のついた棒に特殊な天然由来の粉を仕込んで爆発的に火力をあげる大技


12.テレビCM撮影

2019年2月に東京(神奈川)のCM収録スタジオで火吹きの演技指導とスタントで火吹きの撮影をした時の記事はこちら


記)アークサン代表山口@arksun_led

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ファイヤーパフォーマンス「アークサン」

イベントパフォーマーズではお客さまに安心で確実に盛り上がるパフォーマンスをご提供いたします。お気軽にご相談ください。

光を操るエンターテイメント「アークサン(ArkSun)」

http://event-performance.net/arksun/

イベントパフォーマーズ公式ページ

http://event-performance.net/juggling/

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